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ICT農業活用研究

【栽培管理】004 春作の苗は発酵温床で作って3年目

2020-02-17

宇陀農場 農場長 松田です。春作(4月出荷分~)の種まきも少し一段落しつつありますね。ハンサムガーデンでは、春作のレタスたちの苗作りは発酵温床を使っています。この冬で発酵温床チャレンジ3年目。少しずつ面積も広く、作業工程もシンプルになり月間18000株のレタス苗を作るのに十分なノウハウが蓄積されてきました。

もともとは電気温床(農電ケーブル)で春作の苗(播種時期は厳冬期)を作っていたのですが、電気代が高い、電気メータを苗小屋にひかなればならない、などコストもかかるため他のやり方を模索したのが始まりでした。最初は半信半疑だったものの、よくよくおじいちゃん農家さんに話を聞いてみると思ったよりたくさんの人が発酵温床を使っているようです。ただし、こんなに面積は大きくなく、切りワラや落ち葉を使う発酵温床のほうが地域的には主流です。

ハンサムガーデンでは米ぬかだけで発酵温床(つまり好気発酵米ぬかぼかし)を作ります。作り方は以下の記事を参考に。
2018年冬の記事はこちら→hotbed seeding. 比較的簡易な発酵温床での育苗

 

▼今日のハンサムガーデン宇陀農場のカイゼン

〇課題・疑問 厳冬期の育苗コストが高い

〇解決方法 米ぬかぼかし発酵温床を活用して育苗する

〇発展 もちろん使い終わった米ぬかぼかしは肥料として散布

高吸水性ポリマー材を使った底面吸水育苗 その2

2019-05-04

 

 

 

底面からの毛細管現象を活用する底面吸水育苗システムを組み立てて、
レタス類の育苗を継続実証中です。

ビニールハウスからの移動・撤収しやすさを考えて、OSBボード(加工材コンパネ)をクロスに加工した通称”ペケ台”の上に
エキスパンドメタル(x-42)を設置、保水目的で高吸水性ポリマーポリマーシート(単価@50/(90cmx90cm)を敷設。
13㎜の灌水チューブを設置して、定期的なバルブ制御を遠隔で行っています。
不織布をプール縁に垂らして排水させるモデルは、がっちり排水
してくれるのですが、一時的に底面トレイはプール状になり、セルトレイの
含水量のコントロールが難しい。
僕らの制御ではプール状になる仕組みでは、発藻とレタス苗の徒長に悩みました。

そんな時に、別要件で訪れた奈良県農業研究開発センターのイチゴ苗育苗研究成果で
高吸水性ポリマーを育苗ポットの底面に置くモデル事例を見て、また同時期に文献で
農研機構の福島県農業総合センターのトマト育苗に高吸水ポリマーを育苗用土へ
添加利用される事例と、二つの成果にヒントを得て、仕組の開発を進めてみました。

水分を含みゲル状に膨らんだ高吸収ポリマーシート上にセルトレイの底面孔の
育苗培土が接触する様に設置させます。蒸散や植物苗の吸収により育苗培土の
含水量が減り、陽イオン濃度が保水ゲルより高くなれば、水はポリマーシートから
培土に移動するのだろうと思われます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回苗小屋に使っているビニールハウスは、加圧されている農業用水が

きているので、電磁バルブを開閉することで、まんべんなく給水できます。

育苗は、発芽そろい、根鉢形成、そして地上部の適度な成長が成果条件として、
繰り返し実験してきました。
当地(奈良県宇陀市大宇陀)の5月平均気温を考えるとおよそ28日で定植適期に
なるものかと思われるため、培土の窒素成分量は150mg/L前後に調整。

今回、もっとも注力しているテーマが自動灌水による【省力】です。
良質苗(規格適合する根鉢、地上部の均一)の生産と、スタッフへの仕組運用について
指導するポイントの整理も留意している点です。

 

 

引き続き、この仕組みでレタス類の育苗を行い、実効性が高い、IoT支援型の
底面吸水育苗体制を実証してゆきたいと思います。

使われ方はほっといても多様化する

2018-05-01

栽培現場からの発信を続けているといろんな問合せを戴きます。その一つ一つに御返事してゆくわけですが、僕らはいつごろからか農外・農内と相手を区別して考えてしまうようになってきました。現場の事情を判ってもらえる共通認識があるか無いかで分けていると思います。農業の暗黙知といわれるものも、きちんと言葉に落とし込んだ表現がなされれば共有できるのじゃないかな。このあたり、各都道府県の普及指導所に眠る先輩方の紙の記録や研究ノートに触れる度にそう思います。

農内・外と区切るここの境界帯がなくなるくらい多様な事象を細かくフォローできる(最適化できる)技術が機械学習だったりディープラーニングだったりとするのかなと考えています。

これまで僕らが取り組んだ研究検証成果の一つは、現場画像を記録して、そこに紐づく議論を丁寧にテーマと属性、キーワードといった要素に分けて統計してゆくことと、環境計測したものと、言葉から生々しく連想できる植物の姿や収穫量を現場の時間軸に重ねて蓄積してゆく手段です。

栽培画像と紐帯議論。ここからつまづきドコロが見えてきます。

 

2018年の研究活動資金獲得に向けて取り組みを整理して見えてきた方向性は;

当事者の技術理解や言葉や課題の多様さを技術が吸収してゆける学び手段の模索あたりが研究でスコープするところ。現場課題を吸収してゆくには、標準化ではなくて多様化をサポートする農業ハードやソフトウェアによる処理のイメージです。
増収と経営体成長ボトルネックの一つが畑で動く人の労作にあるのは間違いありません。とらえどころの無い地面の下や気象や環境をすこしでも多くつかんで、優先順位づけた指導ポイントにわけた教育システムが農家にIoT機器を使わせるようになり、ひいては栽培ノウハウを早く現場定着させることになるのじゃないかと思うのです。

多様な環境と利用者の状況にやさしく対応して、システム稼働率をあげるには使いやすい仕組みづくりが求められています。

農業現場のOKラインは毎日変わっています。栽培現場をひっぱる農家が『使いたい』って思える価値観をシステム技術方は理解しないとサービスは普及しにくいとつくづく思います。

 

 

使われ方はほっといても多様化する -了-

IoT公開シンポジウムに出展

2017-11-25

奈良県産業振興センターにて、開催されたシンポジウム
「データ活用による地域の新たな価値創出」に活動を紹介する
ポスターコーナーを設けて戴きました。

 

 

 

 

 

 

 

共通したキーワードはスマート・コミュニティ(シティ)と行動変容。
そこではイノベーティブな行政とシビックテックの協創が新しい文化を
生み出してゆきつつあるよね…というもの。

振り返ればスマートシティだったのだけど、それは結果の形であって
「情報から人を幸せにする」視点が価値を生み出している..とのこと。

●誰がリードしてゆくのか

最初は、意図的にITに詳しい方を集めてゆくのと、やはり知的好奇心を
きちんと見える化、言える化なんじゃないだろうか。

フォロワーは昨今の特徴として本当に薄い関係でつながる。
ちょっと気に留めて置いてくれたらいいよ、というような、縁を残して
ゆく発信しまくり。

基本的に、自身が「こうしたら面白いよね」と方針をまとめて、
ひたすら声をかけて、実行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

基本的に参加者のインセンティブをきちんとしないとやはり集められない。
発信する自分自身が死ぬほど興味を持つ事がコミュニティづくりの
基本ですね。

心地よい体験でした。こんなイベントはどんどん参加するべきだよね。

公開シンポジウムに出展 -了-

育苗支援システム開発・共同研究

2017-09-17

2017年度、奈良県産業振興センターの支援のもとで、株式会社福角兄弟農園(当団体顧問先)、鳥羽商船高等専門学校総合情報センターと当団体が連携する「中小農家が使いやすいICT栽培支援」コンソーシアムは、中小農家に活用してもらる育苗支援システム開発の共同研究を開始しました。福角兄弟農園様は、ミズナ、リーフレタスの育苗で現場に多くの課題を抱えておられます。ここに当団体がこれまで取り組んできました栽培環境計測および灌水管理の仕組みを連動させて、IoTツール活用による育苗成果をあげられるシステムを開発してゆくものです。
要素技術を具体化する期間は9ヶ月。この限られた期間と予算の中で、プロ農家が活用できうるシステムの創出を目指します。

▽2017年9月時点のプロット
●構想図面

 

 

●育苗テーブル試作機

●灌水泉の様子

本件のお問い合わせは
NPO法人ジオライフ協会 宇陀研究農場 tel. 06-6232-2012

学生インターンシップ指導に学ぶ「生産性」その1

2017-05-25

人は不安な心理下にある時、やるべき課題へ集中できなくなるとの研究があるようです。騒がしい事務所では、思索に集中できないっといった具合でしょうか。

注意の方向とは関係なく、自動処理できちゃう仕事と集中しないとできない処理がありますよね。この集中するってことが生理的な注意能力とも言えて、個人によって差のあるリソースなんだそうです。

今回、農業流通の課題解決をテーマにした大学生インターンシップをアレンジさせて戴きました。ここまでの1年数か月というもの、エダマメとレタス栽培に取組んでもらい、スマホで作業現場の記録をイメージ化してその上に議論を重ねる。それでもって記録画像をキーワードの頻出順にならべると、ツボの踏みドコロがみえてくるのが判ってきたわけです。

ちなみに、このクラウドツール無料でスタートできますよ。詳しくはこちら

未経験者の彼らを畑に投入する場合、早期の技術獲得なんぞ「目で盗め」なんて言ってみたところで短期間に絶対実現しません。

そこの解決策は、つまづきどころの把握なのでは無いかな。これを現場でゲーム化してみてるんですが、そろりそろりと自らの失敗をデータ化しはじめてくれています。

このあたりのワークショップ化を考えています。興味持っていただいた皆様、ゼミに参加されませんか?それでもって、生産性向上を一緒に考えてゆきましょうよ。

メッセージお待ちしております。

窪 メールアドレス roteule★gmail までメッセージお待ちしております。

学生インターンシップに学ぶ「生産性」その1 -了-

畑の観天望気..簡易気象ステーション

2017-02-24

露地栽培で日常的に獲得したい環境情報は、我がまま言うと、どんどん増えます。
積算日射量も欲しいし、温度はもちろん、湿度、地温、雨量、風速、気圧、15N…

コンピューターや記録装置はかなり安くなってきたし、容量も増えてどんどん
記録してくれます。 しかしですね、記録したデータや今の状況から、分析して、
活用するどうするの!?という、方法を獲得してないと意味ないわけです。

  それに、そもそも観測したデータはどれくらい正しいのか?と疑って調べると、
ここも課題が多いもの。

 これは畑に設置して2年動かしたSensu-1500という簡易気象ステーションなのですが、
今のところ、気温と降水量を中心に、現場チームが栽培に役立ててもらえるシナリオというか
活用方法のノウハウがこなれてきています。

こうした環境計測って、どこまで正確なのかはコストと比例しそうです。
その点このSensu-1500は刈払機+αな金額で調達可能でした。

 気温センシングは悪くないです。設置場所から約2km離れた標高がほぼ同じなアメダス大宇陀の
観測気温より平均で+0.7℃。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これくらい拾えると、現場で使える様に思います。

9/25(日)・9/26(月)レタス援農研修スタッフ募集

2016-09-15

ハンサムガーデンの窪です。当団体がレタス栽培を指導している
大和高原の農業団体では、苗を植える時期を迎えつつあります。
letuce

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レタス栽培では以下の栽培作業を通して行います。

1.)播種…たね蒔き

セルトレイという小さな植木鉢(17cc)に、育苗用の土(培土)を
充填して、そこに種を蒔きます。
seeding

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.)育苗…水の管理

セルトレイに蒔いた種は苗に育ち、20日~25日で畑に植えるまで
シビアに水の管理を行います。
ikubyo

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.)【定植…苗植え】★今回募集する内容
柔らかい苗を畑に植えてゆきます。苗を一定間隔で、土に植えて
ゆきます。どのタイミングで苗を植えるべきなのか、また苗の善し悪し
を判断するポイントを身に着けてないとなかなか難しい。
handplanter

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4.)収穫…かりとりですネ。
こうしたレタス栽培を実地で体験戴きながら、独自の教育システムを
通して一連の栽培ノウハウを獲得いただける研修体験です。

 

▼今回の募集人員 4名

▼作業日時
1. 2016年9月25日(日) 9:00~12:00(午前) 14:00~17:00(午後)
2. 2016年9月26日(月) 9:00~12:00(午前) 14:00~17:00(午後)
・栽培ポイントのセミナー時間 13:00-14:00 (各日共)
・作業終了後、1時間ほど振り返りとノウハウのフォローアップタイム
このフォローアップタイムで栽培ノウハウの定着に取り組んでもらいます。

▼報酬
時間給:800円 (月末の振込みになります。)
交通費の支給;ありません。

▼申込方法
以下内容を記入の上応募下さいませ。折返し連絡を差し上げます。

締切 2016年9月21日

1.) 氏名 年齢
2.) 農業経験 無・有(何年)
3.) 連絡先電話番号
4.) レタス栽培で聞きたいこと
▼オンラインでの御問いあわせ、申込みは以下をクリック下さいませ。

エダマメ栽培教育システム実習プロ…2016.08.23

2016-08-23

当研究事業ではICT管理によるエダマメ栽培のノウハウ獲得とオンライン栽培指導を行っています。
栽培お手本をスマホで学び、土壌水分センシングと温度記録を見てだされるオンライン作業指示に従い栽培を実施してもらえるものです。

orientation

 

 

 

 

 

 

 

 

 

栽培者はスマートホンを使った栽培状況の撮影・自動転送アプリ【栽培野帳】を使い、エダマメの生育状況と課題と思われる現象を記録報告します。
この撮影画像を見て、栽培管理者が具体的な解決策や栽培作業指示をオンラインで指導いたします。

今夏、龍谷大学の学生らに本システムを使った栽培~販売を体験してもらいました。そのポイントは以下の通りです。

1. 播種、育苗、定植といった栽培要点を事前にネットでクラウドグループにある画像データベースグループに参加、閲覧してもらう。要点作業を記載した指図書を見ながら、追体験として圃場で実作業を行う。

seeding

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. スマートホンアプリ【栽培野帳】(Android)を使い、生育状況を報告する。これを見て、研究スタッフが次の栽培作業を指示する。

3. 定期的に研究スタッフが圃場を巡回して、課題となるポイントを撮影。クラウドグループにこれらの画像とメッセージを登録。

4. 毎月1回程度は実習日を設けて、研究スタッフがクワ、カマ、小型管理機などの使い方を指導。学生らは農機具や小農具の使い方と学び管理作業精度をあげてゆく。

収穫、販売までを行ってもらう3ケ月間。最後の収穫・販売期間は学生達は里山に泊まり、早朝から収穫、管理調整を実施。収穫エダマメは茹でと袋詰めを準備して地元温泉にて見事に完売。

この体験前と後、一人ひとり、驚くほど逞しく成長しました。収穫・販売のフィナーレは栽培地”宇陀”のちょっとハデな地蔵盆。地域のお祭りにも参加、地域と交流してもらい、心を里山に置いていってもらえるような縁が作れたと感じています。

ontheway

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エダマメ栽培教育システム実習プロジェクト..-了-

ハウスの太陽熱処理2016

2016-07-21

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透明フィルムマルチによる太陽熱処理は、50℃が確保される積算時間で48時間以上処理により表層2cmまで野草の抑制が期待される(中央農業総合研究センター2003.3) 。
定植までの作業効率を考え養生処理を実施。

・施肥 (カリ、石膏肥料は1週間前に施肥)
・畝立
・潅水、透明フィルムマルチ処理

温度の確認目的におんどとり・センサーをマルチ下に設置したところ、二日目で76.7℃まで上昇。これは効果ありそうだよね。

太陽熱処理『後』に畝立を行うと、養生効果の及ばない土を表層に持ち上げてしまう。それに畝たっていれば、フィルムマルチ撤去するだけで、迅速に定植作業へ移行できる。
  晴天が続けば、およそ6日以上の処理で、目標の積算温度400℃は達成見込み。

エダマメ栽培環境の土壌乾燥試験実施予定。

 

ハウスの太陽熱処理2016 -了-

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